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Fablabについて
Fablabについて
ファブラボは、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房のネットワークです。2002年にスタートしたファブラボは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のニール・ガーシェンフェルド教授がその著書『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』でファブラボを紹介して以来、その考え方が急速に世界に広まり、現在、少なくとも世界20カ国以上50か所以上にファブラボが存在しています。アメリカやヨーロッパの先進国ばかりでなく、ケニアやアフガニスタンなどの途上国にも広まっています。各ファブラボの運営形態は様々で、大学などの教育研究機関や地域のコミュニティセンター、文化施設と一体化したもの、NPO/NGO、あるいは個人によるものなど、それぞれが独自の運営を行っています。
ファブラボの名称には利用許可を出すような認証システムは今のところありませんが、Fab Foundationはファブラボの名称を利用するための条件として以下の4つを挙げています。また、これらの内容は世界ファブラボ会議で継続的に議論されています。
- 一般市民に開かれていること ファブラボは、個人的な創作や発明のために工作機械を開放し、ものづくりを民主化しようと取り組んでいます。そのため、無料もしくは金銭に変わる交換条件のもと、週に1回以上は一般に公開されていることが求められています。
- ファブラボ憲章の理念に基づき運営されていること Fab Charter(ファブラボ憲章)は、世界のファブラボが共有する基本理念や運営のガイドラインをまとめたものです。ファブラボと名乗る施設は、この内容をウェブサイトと施設内の目に触れる場所に掲示し、利用者に周知させることが求められています。
- 共通の推奨機材を備えていること すべてのファブラボが、ものづくりのノウハウや設計データを共有し、複製・改良していけるよう、機材を共通化しています。デジタル/アナログの様々な工作機械やハンドツールを組みあわせ、(ほぼ)あらゆるものを作り出せる環境を目指しています(ただし人を傷つけるものは除く)。そのため、レーザーカッターと3Dプリンターさえあればファブラボというわけではありませんし、デジタル機器以外の各種ハンドツールや電子工作ツールも欠かせません。
< ファブラボの推奨機材 >
- レーザーカッター
- 紙や木材、アクリルなどの板材をカット、彫刻する。
- CNCルーター
- 木の板材を切削加工し、家具などを作るための大型のルーター。
- ミリングマシン
- 木材、樹脂、金属などを切削する高精度なフライス盤。銅板を切削して回路基板を作ることもできる。
- ペーパー/ビニールカッター
- 紙やカッティングシートを切り出す。マスクやフレキシブル回路を作る。
- 3Dプリンター
- 3Dデータをもとに、樹脂などを立体として出力する。
- 各種ハンドツール・電子工作ツール
- 加工品を仕上げるヤスリ、機械組立てのためのネジやドライバー、電子回路のための半田ごてやオシロスコープなど。
- 国際規模のネットワークに参加すること 毎年開催される「世界ファブラボ会議」や、国境を超えたワークショップ等の連携プロジェクト、ビデオ会議システムなどを通じて国際的なファブラボのネットワークに参加し、その活動をオープンに共有することが求められます。ものづくりのノウハウやラボの運営などに関する課題を共有して連携することで、個々のラボ単体では得られないような価値を生み出します。このネットワークこそがファブラボにとって重要な特徴の一つであり、他のラボと接点を持たずに独立して活動する施設はファブラボとはいえません。
Fab Charter(ファブラボ憲章)
Fab Charter(ファブラボ憲章)は、世界のファブラボが共有する基本理念や運営のガイドラインをまとめたものです。この内容は世界ファブラボ代表者会議やオンラインで議論しながらアップートされ、進化しています。ファブラボと名乗る施設は、この内容をウェブサイトと施設内の目に触れる場所に掲示し、利用者に周知させることが求められています。
原文URL:
http://fab.cba.mit.edu/about/charter/
「 ファブラボ憲章 」
ファブラボとは何か? ファブラボは、地域のラボの世界的なネットワークである。人々にデジタル工作機器を利用する機会を提供することで、個人による発明を可能にする。
ファブラボには何があるか? ファブラボは、(ほぼ)あらゆるものをつくるための設備として、共通の機材を備える。この機材リストを各ラボが共有し、進化させていくことで、ラボをこえて協働し、プロジェクトを共有できるようにする。
ファブラボ・ネットワークは何を提供するか? ファブラボはネットワークとして連携することで、ラボの運用、教育、技術、経営、事業計画など、各ラボで対応できること以上の協力が得られる。
誰がファブラボを利用できるか? ファブラボは、コミュニティのリソースとして利用可能である。事業のために予定された利用とともに、個人に開かれた場としても利用される。
利用者はどんな義務を負うか? 安全:人や機械を傷つけないこと
作業:掃除やメンテナンス、ラボの改善など、運営に協力すること
知識:ドキュメンテーション(文書化)とインストラクション(使い方の説明)に貢献すること
ファブラボの発明は誰の所有物か? ファブラボで生まれたデザインやプロセスは、発明者が望めば保護したり販売することもできる。ただし、それらは個人が学ぶために利用可能なものにしておくべきである。
ファブラボにおけるビジネスはいかに可能か? ファブラボは営利活動のプロトタイピングやインキュベーションのために利用できるが、それらはその他の利用と衝突してはならない。また、ラボを超えて成長し、その成功に寄与した発明者、ラボ、ネットワークに利益を還元することが期待される。